杏林大学整形外科
Department of Orthopaedic Surgery Kyorin University Graduate School of Medcine,


教育・研修・入局案内
教育・研修・医学生・研修医向け情報


杏林大学整形外科専門研修の目標

① 専門研修後の成果

杏林大学整形外科研修プログラムを修了した専攻医は、あらゆる運動器に関する科学的知識と高い社会的倫理観を備え、さらに、進歩する医学の新しい知識と技能を修得できるような幅広い基本的な臨床能力(知識・技能・態度)が身についた整形外科専門医となることができます。また、同時に専攻医は研修期間中に以下のコアコンピテンシーも習得できます。

  1. 患者への接し方に配慮し、患者や医療関係者とのコミュニケーション能力を磨くこと
  2. 自立して、誠実に、自律的に医師としての責務を果たし、周囲から信頼されること(プロフェッショナリズム)
  3. 診療記録の適確な記載ができること
  4. 医の倫理、医療安全等に配慮し、患者中心の医療を実践できること
  5. 臨床から学ぶことを通して基礎医学・臨床医学の知識や技術を修得すること
  6. チーム医療の一員として行動すること
  7. 後輩医師に教育・指導を行うこと

② 到達目標(修得すべき知識・技能・態度など)

1)専門知識
専攻医は、整形外科研修カリキュラムに沿って研修し、整形外科専門医として、あらゆる運動器に関する科学的知識と高い社会的倫理観を涵養します。さらに、進歩する医学の新しい知識を修得できるように、幅広く基本的、専門的知識を修得します。専門知識習得の年次毎の到達目標を資料 1 に示します。

2)専門技能(診察、検査、診断、処置、手術など)
専攻医は、整形外科研修カリキュラムに沿って研修し、整形外科専門医として、あらゆる運動器に関する幅広い基本的な専門技能(診察、検査、診断、処 置、手術など)を身につけます。専門技能習得の年次毎の到達目標を資料 2 に示します。

3)学問的姿勢
臨床的な疑問点を見出して解明しようとする意欲を持ち、その解答を科学的に導き出し、論理的に正しくまとめる能力を修得することができることを一般目標とし、以下の行動目標を定めています。

  1. 経験症例から研究テーマを立案しプロトコールを作成できる。
  2. 研究に参考となる文献を検索し、適切に引用することができる。
  3. 結果を科学的かつ論理的にまとめ、口頭ならびに論文として報告できる。
  4. 研究・発表媒体には個人情報を含めないように留意できる。
  5. 研究・発表に用いた個人情報を厳重に管理できる。
  6. 統計学的検定手法を選択し、解析できる。
学術活動として、下記 2 項目を定めています。
  1. レジデントセミナー、あんず外傷セミナー、あんずスポーツセミナーへの参加(各年1回)、杏林医学会での研究発表(1年目)。
  2. 外部の学会での発表(年1回以上)と論文作成(研修期間中1編以上)。

4)医師としての倫理性、社会性など

  1. 医師としての責務を自律的に果たし信頼されること(プロフェッショナリズム)
    医療専門家である医師と患者を含む社会との契約を十分に理解し、患者、家族から信頼される知識・技能および態度を身につけます。本プログラムでは、指導医とともに患者・家族への診断・治療に関する説明に参加し、実際の治療過程においては受け持ち医として直接患者・家族と接していく中で医師としての倫理性や社会性を理解し身につけていきます。
  2. 患者中心の医療を実践し、医の倫理・医療安全に配慮すること
    整形外科専門医として、患者の社会的・遺伝学的背景もふまえ患者ごとに的確な医療を実践できること、医療安全の重要性を理解し事故防止、事故後の対応がマニュアルに沿って実践できることが必要です。本プログラムでは、専門研修(基幹および連携)施設で、義務付けられる職員研修(医療安全、感染、情報管理、保険診療など)への参加を必須とします。また、インシデント、アクシデントレポートの意義、重要性を理解し、これを積極的に活用することを学びます。インシデントなどが診療において生じた場合には、指導医とともに報告と速やかな対応を行い、その経験と反省を施設全体で共有し、安全な医療を提供していくことが求められます。
  3. 臨床の現場から学ぶ態度を修得すること
    臨床の現場から学び続けることの重要性を認識し、その方法を身につけます。 本プログラムでは、知識を単に暗記するのではなく、「患者から学ぶ」を実践し、個々の症例に対して、診断・治療の計画を立てて診療していく中で指導医とともに考え、調べながら学ぶプログラムとなっています。また、毎週行われる症例検討会や術前・術後カンファレンスでは個々の症例から幅広い知識を得たり共有したりすることからより深く学ぶことが出来ます。
  4. チーム医療の一員として行動すること
    整形外科専門医として、チーム医療の必要性を理解しチームのリーダーとして活動できること、的確なコンサルテーションができること、コメディカルと協調して診療にあたることができることが求められます。本専門研修プログラムでは、指導医とともに個々の症例に対して、コメディカルと議論・協調しながら、診断・治療の計画を立てて診療していく中でチーム医療の一員として参加し学ぶことができます。また、毎週行われる症例検討 会や術前・術後カンファレンスでは、指導医とともにチーム医療の一員として、 症例の提示や問題点などを議論していきます。
  5. 後輩医師に教育・指導を行うこと
    自らの診療技術、態度が後輩の模範となり、また形成的指導が実践できるように、学生や初期研修医および後輩専攻医を指導医とともに受け持ち患者を担当してもらい、チーム医療の一員として後輩医師の教育・指導も担ってもらいます。本プログラムでは、基幹施設においては指導医と共に学生実習の指導の一端を担うことで、教えることが、自分自身の知識の整理につながることを理解していきます。また、連携施設においては、後輩医師、コメディカルとチーム医療の一員として、互いに学びあうことから、自分自身の知識の整理、形成的指導を実践していきます。

③ 経験目標(種類、内容、経験数、要求レベル、学習法および評価法等)

1)経験すべき疾患・病態
基幹施設である杏林大学医学部付属病院整形外科では脊椎外科、関節外科、スポーツ医学、腫瘍外科、外傷と十分な症例数があり、基幹施設、連携施設での切れ目ない研修で専門研修期間中に経験すべき疾患・病態は十分に経験することが出来ます。連携施設では、基幹型臨床研修病院として年間700例以上の手術件数を取り扱う東大和病院は、外傷のほか脊椎手術を年間100件以上行い、手外科学会認定研修施設にも指定されているサブスペシャリィティーの研修に適しています。その他、佼成病院、JCHO山梨病院が基幹型臨床研修病院に当たります。協力型臨床研修病院は、小山記念病院、加納岩総合病院、清智会記念病院、三鷹中央病院で、これら病院は救急医療としての外傷に対する研修が可能です。目白第二病院は、外傷、救急に特化した病院です。白河病院は県内有数の透析患者数で、一般整形外科診療のほか透析性骨関節症の臨床研究を行っております。久我山病院、調布病院は地域に根差した医療を提供し、専門的な治療が必要な場合は杏林大学に紹介できる連携施設です。いずれの連携施設も豊富な症例数、手術件数を有しており、連携施設研修では毎年100件以上の手術執刀経験を積むことができます。

2)経験すべき診察・検査等
資料3:整形外科専門研修カリキュラムに明示した経験すべき診察・検査等の行動目標に沿って研修します。尚、年次毎の到達目標は資料2:専門技能習得の年次毎の到達目標に示します。III診断基本手技、IV治療基本手技について は 4 年間で 5 例以上経験します。

3) 経験すべき手術・処置等
資料3:整形外科専門研修カリキュラムに明示した一般目標及び行動目標、経験すべき手術・処置等の行動目標に沿って研修します。本専門研修プログラムの基幹施設である杏林大学医学部付属病院整形外科では、研修中に必要な手術・処置の修了要件を満たすのに十分な症例を経験することができます。症例を十分に経験した上で、上述したそれぞれの連携施設において、施設での特徴を生かした症例や技能を広くより専門的に学ぶことができます。

4)整形外科専攻医が経験すべき症例数の根拠
資料4:整形外科専攻医が経験すべき症例数の根拠をもとにして、現在日整会認定医としている分野の関節リウマチ、リハビリテーション、スポーツ整形、さらに外傷・救急医療、地域医療を経験すべき領域として加え、それぞれの領域毎に、必須として経験すべき症例と症例数、まとまった群として経験すべき症例と症例数のminimum requirementの設定をして、研修期間は1ヶ月1単位の単位制を導入することとした。

5)地域医療の経験(病診・病病連携、地域包括ケア、在宅医療など)
資料 3:整形外科専門研修カリキュラムの中にある地域医療の項目に沿って周辺の医療施設との病病・病診連携の実際を経験します。
i. 研修基幹施設である杏林大学病院が存在する東京都以外の地域医療研修病院において 3ヵ月から1年間勤務します。
ii.本プログラムの連携施設には、その地域において地域医療の拠点となっている施設(地域中核病院)としてのJCHO山梨病院、小山記念病院、加納岩総合病院、白河病院といった幅広い連携施設が入っています。そのため、連携施設での研修中に以下の地域医療(過疎地域も含む)の研修が可能です。
・ 地域の医療資源や救急体制について把握し、地域の特性に応じた病診連携、病病連携のあり方について理解して実践できる。
・ 例えば、ADL の低下した患者に対して、在宅医療やケア専門施設などを活用した医療を立案する。

6)学術活動
研修期間中に日本整形外科学会が主催又は認定する教育研修会を受講し、所定の手続により 30単位を修得します。また、臨床的な疑問点を見出して解明しようとする意欲を持ち、その解答を科学的に導きだし、論理的に正しくまとめる能力を修得するため、年 1 回以上の学会発表、筆頭著者として研修期間中 1 編以上の論文を作成します。 杏林大学整形外科が主催する多摩整形外科医会、多摩リウマチ研究会(各年2回)、多摩骨代謝研究会(年1回)に参加することにより、他大学整形外科教授からの多領域にわたる最新知識の講義を受けることができます。 あんずスポーツセミナー、あんず外傷セミナーへの参加(各年 1回)、さらに杏林医学会での研究発表(1年目)を行うこと、外部の学会での発表(年1回以上)と論文執筆(研修期間中1編以上)を行うことにより臨床研究に対する考え方を習得することができ、また学会発表に対する訓練を積むことができます。


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